公務員になれば一生安泰。勝ち組。
世間一般では公務員はリストラも無く、毎年昇給してボーナスもでると思われています。
残念ながら公務員にもリストラがあります。
正確に言えばリストラの対象になる職種があります。
公務員にも様々な種類があります。
これから公務員を目指すあなた。公務員だからと言って何でも良い、とにかく受かれば良いと考えていませんか?
その考えは非常に危険です。
公務員ならば何でも良いわけではありません。
今回は公務員の現業職について紹介したいと思います。
○自己紹介
某中核市で約五年ほど公務員として働いてきました。現業職についても話もよく聞いていました。元公務員の立場から情報を発信していきます。
現業職とは?
現業職とは正社員をコース別に採用するコース別雇用管理制度のなかの一コースで、技能分野の業務に従事する職務および国、地方自治体、独立行政法人での労務のことを指します。
つまり現場で活躍している公務員です。一般事務職の行政職とは違った立場の職種です。
例えば
- 公用車・電車・バスの運転手
- 清掃作業員
- 給食調理員
- 用務員
- 道路補修作業員
- 電話交換手
保育園の保育士も現業職とするところもあれば行政職と位置付けるところもあります。正直、現業職としての線引きが難しいところです。
行政職との違いは?
では行政職との違いを見ていきます。
大きな違いは労働組合の結成、団体交渉権が認められていることです。
御存知の通り公務員には労働組合の結成や団体交渉権は認められていません。しかし、現業職に限っては認められています。
権利が認められているけど解雇があります。つまり、組合活動をして市と交渉して自分たちの仕事を守らなければなりません。
給与表も違ってきます。昇給する額やスピードも行政職とは違います。
更に言えば現業職は役職がありません。行政職は役職があって年々上がっていきます。しかし、現業職は役職がないのでずっと平社員のままです。
また、行政職に比べて公務員試験の内容が比較的簡単です。私自身受験した経験があります。数的処理や社会科学と言ったような問題ではありませんでした。計算などの知能的な問題に近い感じでした。
リストラがある
先程も紹介しましたが現業職にはリストラがあります。
各自治体で民営化の動きが進んでいます。
仕事をできるだけ民間委託して人件費を削っていく流れが大きくなっています。
更に、AIやコロナウイルス問題も大きく関わってきています。公務員を削減する動きが活発化しています。
まず一番切られやすいのが臨時職員などの非正規雇用職員です。次に現業職の職員です。
昔まではあった電話交換手や公民館の職員なども廃止になったり民間委託に切り替わっている自治体が多いです。
民間委託の例
では実際に民間委託移行への例を紹介したと思います。
旭川市が2013年度まで技能労務職を全廃することを明らかにした。業務の大半を民間委託にして、一部を臨時・嘱託職員へ切り替えることとした。 現在の技能労務職員は事務・技術職に配置変換する。
古い記事ですが実際に民間委託の流れがでています。旭川市の場合、職員の救済処置として配置換えをしてくれています。
しかし、実際に配置換えは行わないでリストラとする自治体もあります。
高知県 平成18年
平成 17 年 12 月に策定した高知県行政改革プランにおいては、簡素で効率的な行政基盤を確 立する観点から、職員数の適正化及び給与制度の見直し等に取り組むこととしている。 特に技能職については、業務を全てアウトソーシング又は廃止し、将来的には技能職自体を 廃止することとしている。 これらの見直しを進めるに当たっては、技能職員の定年退職による人員の減少にあわせて見 直しを行うのではなく、行政職員への転職を促進するとともに、技能職の職のあり方やその給 与水準の見直しを並行して行うこととしている。 今後、これらの見直しの進捗に伴い、技能職員の処遇について全庁的に取り組む必要がある ことから、その基本となる「技能職の見直し方針」を定める
現在の現業職は希望者は行政職への転職試験を受けて合格すれば転職が可能。
転職しなかった人は新たな現業職としての仕事をする。
つまり、ほとんど民間委託した中で現業職としての仕事をする。正規職員しての意味は無いと言える。
実質的に行政職へ転職しなければ余り物の仕事をするか辞めてもらうよと言うこと。
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採用していない自治体も
上記で紹介したように民間委託や非正規職員で穴埋めをしている。
または、機械化して人の手を借りないようにしている所もあります。
採用枠は年々減っています。
私の勤めていた自治体でも私が入庁してからの約五年間で年に一人だけの採用でした。
しかし、正規職員での採用枠はなかなか確保できないのが現状です。
もちろん人手不足のところは非正規職員で穴埋めします。
採用人数を減らして行く。そして、今ある仕事も民間委託に切り替えて行く。
そうやって現業職の廃止を進めていくのが自治体での流れになっています。
古いやり方が残る
新規職員が採用されないので当然、新しい風は入りません。
ほとんどの職員が50代、40代です。
更に、古くからの上下関係や仕事のやり方が現在まで残っています。
未だに昭和の根性論や精神論がまかり通る世界です。
若い職員が採用されても組合活動に強制的に加入される。
そして、仕事が無くなると言われ続けて働く。
夜遅くまで組合活動を無給でしなければならない。
これが現業職の現状です。
どんなに労働組合で正規職員の必要性を市に交渉しても民間委託推進の波は止めることはできません。
救済措置もある
民間委託になったから、明日からこなくていいよ!!
一応、救済措置もあります。
行政職の任用替えを受ける。もしくは、他の現業職の仕事に移るです。
任用替えの場合、試験を受けなければなりません。残念ながら、これらの救済措置をしていない自治体もあります。
でも、完全に明日から仕事が無いと言ったことはないでしょう。何らかの方法は残されているはず…
これから公務員を目指すあなたへ
公務員試験に落ちるとなんでも良いから受かりたいと考えるようになります。
何でも良いは本当に危険です。
公務員を目指すなら行政職が絶対におすすめです。
行政職の場合、試験が難しいなど大変な部分もあります。本気で行政職を目指すなら予備校に行くことをオススメします。
試験を受けるチャンスが有るなら行政職にこだわりましょう。
現業職は比較的試験が簡単です。
しかし、同じ公務員でも昇給や待遇面で差が出てきます。組合活動などの給与と関係ない仕事もしなければなりません。
公務員削減の流れが世間で出ている中で真っ先に廃止されるのが現業職です。
公務員も絶対安心とは言えない世の中です。
しかし、まだ行政職は廃止の流れはでていません。
私の経験上、現業職はおすすめしません。
※これから現業職を受験しようと考えている方は、メリットデメリットをまとめたので参考にしてみてください。
まとめ
各自治体で民間委託推進計画がでている。
現業職をはじめ、これから多くの職員に影響が及ぶと考えられる。
また、AIの参入やコロナウイルスの影響で職員の削減も大いに有り得る。
公務員を削減していく流れはこの先もっと大きくなるでしょう。
更に昨今は働き方も大きく変わっています。個人の力で稼ぐことが注目されています。
大企業でも終身雇用が難しい世の中。公務員=一生安泰とは言えない世の中です。
各自治体、現業職に対する風当たりが厳しいものになってきています。公務員を受験するなら行政職を受験することをオススメします。
現業職のりストラ(民間委託化)が進んでいるのが現状です。